内山 節
八世代先見据えた森作りを
「哲学者」と聞いて、私たちはある種、固定したイメージを抱きがちだ。だが今の時代、人里離れた山村に暮らし、自ら畑を耕作しながら思索する哲学者の姿をイメージするのは難しいかもしれない。内山節(たかし)さんは、東京のほか群馬県の上野村に生活の拠点を置いて、生きる人間の視点から思索を続ける実践的哲学者だ。現在、立教大学大学院教授として教鞭を執るほか「文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議」の共同代表として、神社仏閣の木造建築を未来に受け継いでいくために不可欠な樹木の育成プロジェクトに取り組んでいる。 (聞き手=山本伸裕記者)
山里紀行 <第134回> 一次産業の未来
(平成14年6月5日発行の「山林・No1417」より転載)
上野村の畑では、六月に入ると、いろいろな作物が大きく葉をひろげている。「別に作らなくてもいいのだけれど」と言いながら、誰もがそれなりに畑作をつづけている。