シンポジウム・研究集会

「『文化材』創造プロジェクト」趣旨と募集要項

「私の山に『文化財の森を』
『文化材』創造プロジェクトの趣旨


日本には世界に誇る木造建造物の文化財が数多く存在します。それらは、世界遺産への指定でも明らかなように、日本の文化財としてだけでなく、世界の文化財として評価される時代を迎えています。

 これまで木造文化財が長期にわたって維持されてきたのは、木がもっている確かな力と、堂宮大工の修理技術の確かさの賜でした。用材の確保と伝統技術の継承こそが、文化財を守ってきたのです。ところが今日ではこの用材の確保が困難になりつつあります。文化財の修理や価値の高い木造建造物の新築に使えるような高品質の大径木を山に残すことが難しくなってきたのです。

 この問題を解決するにはさまざまな改革が必要です。今日の相続税制度がこのままでよいのかということも大きな課題ですし、文化財を保有している寺社と堂宮大工、木材商、森林所有者の連携を確立していくことも重要な課題です。また松の大径材維持では松食い虫が行く手を阻んでいます。

 私たち「文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議」は、このようなさまざまな課題について一歩ずつ解決に向けて努力していこうと考えています。その第一歩として、私たちは個人、企業等の森林所有者の皆様に、「『文化材』創造プロジェクト」の推進を呼びかけます。

「『文化材』創造プロジェクト」とは、森林所有者の方々が自発的に、長伐期施業を目指している山の一部を、将来、文化財の修理等に提供できるような森として維持・育成していくことを私たちの団体に登録していただく制度です。
このことにより、何らかの義務が発生することは極力避け、登録して頂いた森林所有者と、堂宮大工、木材商、文化財を保有する寺社、この動きを推進する有識者との連携の創造を私たちは目指しています。日本の木と日本の伝統技術を結集して日本の文化財が守られていく仕組みを考えるネットワークの確立こそがこの「プロジェクト」の目的です。

 文化材の修理用資材を確保するための取り組みとしては、既に林野庁では「世界遺産貢献の森」、文化庁では「ふるさと文化材の森」などの施策がスタートしていますが、私たちは民間の立場から、これら行政の取り組みと必要に応じて連携・協力を図りながら、より裾野の広い取り組みを行う必要性を感じています。

自分の山の木が将来の日本の文化財を支える、文化財を保有する寺社をはじめとする様々な人々とネットワークを組みながら森に文化的な付加価値をつけていく、そしてその動きを第一歩として日本における森の役割や森を維持するための社会制度の改革をひとつずつ進めていく、そのためには、森林所有者の方々において文化財等を守る森林を維持・育成しようとしているとの意思表示をしていただくことが重要と考えています。

私たちは、そのことを基礎に運動を展開していきたいと考えています。より多くの森林所有者の方々が「『文化材』創造プロジェクト」に賛同し、参加して頂けるようお願いいたします。

            文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議


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【募集要項】
 
 「『文化材』創造プロジェクト」に賛同していただいた方に

■「『文化材』創造プロジェクト」とは
・「『文化材』創造プロジェクト」とは、森林所有者の方々が自発的に、長伐期施業を目指している山の一部を、将来、文化財の修理や価値の高い木造建造物の新築に提供できるような森として維持・育成していくことを、「文化遺産を未来につなぐ森づくりのための有識者会議」に登録して頂く制度です。
・文化財の修理等に用いられるような、年輪を重ねた大きな材のことを、ここでは『文化材』と呼ぶことにいたしました。

■ 対象となる森林は 
・文化財の修理等には、一般にヒノキ、スギ、マツ、ヒバ、ツガ、クリ、ケヤキなどの樹種で、大径通直な木材が用いられます。
・これらの樹種のうち、現在樹齢80年生以上で、将来的には樹齢150年を上回るような長伐期を目指している樹木や森林を想定しています。なお、法令で禁伐となっているものを除きます。

■ 登録頂く内容
・登録頂く内容は、連絡先、樹木又は森林及び位置図です。
・連絡先は、森林所有者の住所、氏名、電話番号等です。
・樹木又は森林は、登録いただく樹木又は森林の所在市町村、樹種、現在の林齢、現在の本数又は面積です。
・位置図は、大まかな位置がわかる図面(施業図や国土地理院の2万5千分の1の地図などに丸で囲んだもの)です。

■ 登録にあたって
・登録頂く森林所有者は、個人、寺社、企業、団体等を問いません。
・登録は、あくまで森林所有者の意思に基づくもので、強制にわたるものではありません。
・登録により伐採制限や取引制限といった義務が課せられるものではありません。
・登録から5年ごとに登録した森林の状況を問い合わせさせて頂きます。
・次の場合は登録を取り消すことがあります。
@登録頂いた樹木・森林が消滅又は大きな被害を受けたとき
A登録者からの申し出があったとき又は登録者と長期間連絡が取れなくなったとき

■ 登録頂いだいた方に
・登録頂いた方には、当会議から感謝状を贈呈します。

・当会議が催すシンポジウム、研究会、森林や修理・建築現場での見学会、寺社等文化財所有者や堂宮大工さんたちとの情報交換会等のご案内をします。
・当会議が把握した学術研究や文化財修理の情報等の提供を行います。
・アンケート調査をお願いすることがあります。
・アンケート調査の結果は登録者にお知らせするとともに、その結果については、政策提案等に活用させて頂きます。

・樹木又は森林に関する情報はネット上で公開しますが、連絡先と位置図は非公開とします。
・なお、文化財所有者や修理技術者等からの問い合わせがあったときは、登録者の了解を得たうえで連絡先をお知らせすることとします。

■ 登録の受付
・このプロジェクトに賛同し、登録頂ける方は、有識者会議のHP又は下記様式に必要事項を記入の上、有識者会議事務局宛に郵送により申込みください。

項  目

●登録者名又は登録団体名(公開可又は非公開希望を明記)

●連絡先(非公開)
  住所
  氏名
  電話番号
Eメール
●対象樹木又は森林(公開) 所在市町村
  樹種
  現在の林齢
  現在の本数又は面積

●登録申込み票と添付書類:位置図(施業図や国土地理院の2万5千分の1の地図に丸で囲んだもの)(非公開を文化遺産を未来につなぐ森づくりのための有識者会議事務局までご郵送下さい。
 連絡先:info@bunkaisan.jp まで (申込み用紙を添付、又は郵送させて頂きます。)