会報

●第5号●

語りかける徳島すぎ 第6話―地域林業の歴史的考察

(徳島県西部総合県民局企画振興部防災担当 技術課長補佐 網田克明)

 未来に目を向ける為、その地の歴史を検証しこれまでに至る必然と今後のより良い方向性を模索します。『地域から』シリーズ、まず徳島から。藩政や明治新政府との関わりなど、山に関する興味深い史実を掘り起こしながら地域林業の変遷を見つめ、常に先を進んできた徳島木材産業の気概を伝えます。今回が最終回となりました。

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文化財の為の森を育てるという事

(当会理事 加藤鐵夫)

 大径、長尺材の供給の減少が問題になりだしたのは、1970年代に入った頃であろうか。拡大造林の進展等に伴って天然林の開発が進められるとともに、さらに自然保護等の観点から天然林の伐採が抑制され、天然林から供給されてきた大径、長尺材の生産減少が顕在化し始めてきた。それに伴い、適時に修理を行うことにより維持されてきているわが国の建造物文化財の補修、改修用材の確保が問題となってきた。

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●第4号●

山村と森林文化、木の文化

(文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議代表 古橋 源六郎)

1 山村の役割

 山村には、そこに存在する森林とそこに住む山村住民の努力により、林産物を蓄積・供給する機能、土地環境、水環境、生活環境、大気及び生物多様性を保全する等の環境保全機能、身体的・精神的健康を維持促進する健康保険機能等のほか森林文化と木の文化を維持・育成する文化的機能がある。

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語りかける徳島スギ-地域林業の歴史的考察(4)

(徳島県立農林水産総合技術センター主任専門技術員・網田克明)

未来に目を向ける為に、その地域の歴史を検証しこれまでに至る必然と今後のより良い方向性を模索します。地域からシリーズ、まず徳島から、藩政や新政府との関わりなど興味深い史実を掘り起こしながら地域林業の歴史的な考察連載の4・5回目です。

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●第3号●

熊野古道センターと森林・木材

(速水 亨(林業家) (文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議代表))

1 私が歩いた石畳
私の所有する山に昔から「馬越背の石畳」と言われたしっかりとした石畳があります。私の住まいする海山町から南の尾鷲市に向かう昔からの峠道です。峠から東に向かって石畳から逸れて急な坂道を登ると天倉山という頂上に巨石がむき出しになった山があります。子どもの頃はこの山に登るために良く歩いた道で、苔むしていて滑りやすいので大変疲れる道だった記憶があります。
自分の山の中を通っていることもあり、木材の搬出に使っていた道でした。それが近年急速に注目されて、県内各地に同じような峠道があることが判り、それが1000年の昔から伊勢と熊野速玉大社や熊野本宮大社を結ぶ道として多くの人々が歩いた道だと言うことで、県のもあり、観光バスで歩きに来られる方々が急速に増加し、次第に知名度も高くなり、道周辺も整備されるようになりました。

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語りかける徳島スギ-地域林業の歴史的考察(3)

(徳島県立農林水産総合技術センター主任専門技術員・網田克明)

 文化遺産を未来につなぐ為には、「森林と技術」両方を守っていかなければなりません。未来に目を向ける為に、その地域の歴史を検証しこれまでに至る必然と今後のより良い方向性を模索します。地域からシリーズ、まず徳島から、藩政や新政府との関わりなど興味深い史実を掘り起こしながら地域林業の歴史的な考察連載の3回目です。

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●第2号●

農山村の文化財  それをどう考えるか

(文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議代表・内山節(哲学者))

 私の暮らす群馬県上野村には、蛇神様(へびがみさま)の祀られている岩がある。養蚕の神様として、昔は遠方からもお参りに来る人がいたのだという。養蚕にとってはネズミは大敵なので蛇神様信仰が生まれたと村人は言うが、なぜ養蚕にとってネズミが大敵なのかは聞き忘れた。養蚕がおこなわれなくなった今日でも、近くの人々は大事にこの神様を守っている。

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語りかける徳島スギ-地域林業の歴史的考察(2)

(徳島県立農林水産総合技術センター主任専門技術員・網田克明)

 文化遺産を未来につなぐ為には、「森林と技術」両方を守っていかなければなりません。未来に目を向ける為に、その地域の歴史を検証しこれまでに至る必然と今後のより良い方向性を模索します。地域からシリーズ、まず徳島から、藩政や新政府との関わりなど興味深い史実を掘り起こしながら地域林業の歴史的な考察連載の2回目です。

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●第1号●

文化遺産を未来につなぐ森をつくろう

(文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議代表・伊藤延男)

 日本はもとより世界文化遺産の保存に長年関わられた立場から、木造文化財を後世に残すために必要な木材の種類、大きさや品質についての不安を訴え、その方策を呼びかける。

 われわれの「文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議」は、発足以来まだ日が浅く、全体としての活動目標をどこに置くか、まだ隅々まで決まっているわけではないが、文化遺産を維持保存するための木材確保が中心的目標の一つとなることは間違いない。中でも国宝・重要文化財に指定されている建造物の修理に際して必要となる取替材の確保は、量的に見ても最重要である。そこで、この点から話を進めたい。

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語りかける徳島スギ−地域林業の歴史的考察(1)

(徳島県立農林水産総合技術センター主任専門技術員・網田克明)

 文化遺産を未来につなぐ為には、「森林と技術」両方を守っていかなければなりません。未来に目を向ける為に、その地域の歴史を検証しこれまでに至る必然と今後のより良い方向性を模索します。地域からシリーズ、まず徳島から、藩政や新政府との関わりなど興味深い史実を掘り起こしながら地域林業の歴史的な考察を6回連載でお届けします。

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文化財建造物修理の実際について

(西 和彦(文化庁 文化財部建造物課 文部科学技官))

平成14年5月9日(木)東京霞会館に於て「文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議」発起人会が開催された。プレゼンテーションとして、文化庁西和彦氏より「文化財建造物の修理と原材料」、林野庁飛山龍一氏より「木と人の関わりについて〜樹が柱になるまで」が発表された。以下は西氏発表の概要です。

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