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2011年12月12日

NO.473 当会共同代表 伊藤延男氏に、ICOMOS GAZZOLA賞

 11月末に「ちょっとパリに行ってきますよ」と出かけられた伊藤延男代表に、帰国後「いかがでしたか?お元気ですか?」とメールを差し上げたところ、「元気です。ICOMOSの総会では、Gazzola賞 をいただきましたよ。」との返信メールをいただきました。

 え?Gazzola賞 ってなに ?と慌ててICOMOS のHPを覗きましたら、なんという驚愕すべき大ニュース。
 あわてて、会の皆様方に緊急連絡をいたしました。
 事務局として迂闊と言えば迂闊。
 何の為にパリに行かれるのか、なんて深く考えもしませんでした。

 とにかく、世界で11 人目、という名誉ある受賞者になられた訳で、こんな方の元で働かせていただいていることを大変名誉に思っております。
 この「文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議」でも、日本の木造文化遺産を後世に残したいと思われるお気持ちは誰よりも強く、会の皆様を本当に引っ張っていかれる精神的強さに尊敬しながら私もついて参りました。
 その上、受賞後、英語だけでなくフランス語も交えてご挨拶されたと伝え聞き、英語だけでもチンプンカンプンな私は、それだけでまたまた大尊敬。

 以下は、日本イコモス国内委員会発表のおしらせです。(そのまま転載させて頂きます)

伊藤延男氏 Gazzola賞を受賞

 記念建造物、遺跡等の保護・保存のための国際NGOであるイコモス(ICOMOS; International Council on Monuments and Sites、国際記念物遺跡会議)は12月1日、フランス・パリのユネスコ本部で開催されている総会において、日本イコモス国内委員会の名誉会員である伊藤延男氏へのガッゾーラ(Gazzola)賞の授賞を発表しました。ガッゾーラ賞は、3年に一度の機会しかない、文化遺産保存の分野における世界で最も権威ある賞とされています。
 伊藤氏の受賞は、アジアに多くみられる木造建築の保存・修復の手法や伝統がヨーロッパの組石造建築とは異なることを主張し、その多様性への理解と尊重を求め、歴史的建造物の保護に関する新たな国際基準の採択に貢献するなど、文化遺産保存の中でもとりわけ建造物の分野において、日本、アジアと海外との架け橋となってきた多年にわたる功績が認められたことによるものです。

Gazzola賞
 3年に一度開催されるICOMOS総会において、ICOMOSの活動目的に顕著な貢献を行った一個人、または一団体に授与されるもので、文化遺産保護・保存の世界におけるノーベ
ル賞とも形容されるほど、最も権威ある国際的な賞といえます。1979年の賞創設以来伊藤氏は11人目の受賞者となりました。候補者は各国国内委員会が推薦するものとなっており、日本イコモス国内委員会は2011年5月に名誉会員の伊藤延男氏の推薦書を提出していたところです。日本人としては、1987年に受賞した関野克博士(日本イコモス国内委員会・初代委員長)に次ぐ二人目の受賞者です。

ICOMOS
 ICOMOSは、1965年に設立された国際NGOで、加盟各国の文化遺産保存分野の第一線の専門家や専門団体によって構成されています。ユネスコをはじめとする国際機関と密接な関係を保ちながら、文化遺産保存の理論、方法論、科学技術の研究・応用、およびユネスコの世界遺産条約に関しては、諮問機関として、登録の審査、モニタリングの活動等を行っています。2011年12月現在、参加国は127カ国を数え、会員は10000人以上にのぼり、文化遺産の価値の高揚のための重要な役割を果たしています。
日本イコモス国内委員会(1979年発足)は、日本国内のICOMOS会員が組織する団体で、 これらの目的を果たすための国際ネットワークの日本における拠点として活動しています。

伊藤延男氏 略歴
 1925年生まれ、86歳。愛知県出身。1947年に東京帝国大学第一工学部建築学科を卒業後、東京国立博物館に入り、その後、60年以上にわたり、一貫して国内および国際的な文化財建造物の保護に尽力。文化庁建造物課長、文化財鑑査官、東京国立文化財研究所所長を歴任し、世界遺産条約起草会議をはじめ、多くの国際会議、国際研修等に参加。世界遺産条約の仕組みを日本に紹介し、歴史的な集落・町並みの保存を目的とした「伝統的建造物群保存地区」制度制定に大きく貢献した。1983年4月より1990年5月までICCROM(国際文化財保存修復研究センター)理事・財政事業委員会委員。
 ICOMOSでは1987年から1993年まで本部執行委員、1993年から1996年までは本部副会長を勤め、2005年には名誉会員の称号を授与。2006年には、一連の国内外における文化財保護への尽力、またそれを通じた国際協力への貢献が評価され、わが国でははじめて、文化財保護の分野から文化功労者として顕彰された。
工学博士(東京大学)、文化功労者、東京文化財研究所名誉研究員、ICOMOS名誉会員、神戸芸術工科大学名誉教授。専門は文化財建造物の保護・保存、日本建築史。