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2015年01月30日

NO.477 2015.1.25シンポジウム終了の御礼

1月25日の当会のシンポジウム
ー200年先、日本木造文化財の維持保全に必要な補修用材の為の森づくりー
超長伐期施業への挑戦
 お陰さまで、東京大学農学部弥生講堂アネックスのセイホクホールをいっぱいにして、無事終了することが出来ました。
 たくさんの方々にご参加いただき、面白かった、参加して良かった、と感想を寄せて頂き、ホッとしております。まことにありがとうございました。
 今の時代に「超長伐期」、などと銘打ったシンポジウムを開催しても、横向かれちゃうだけでは、と内部で議論しましたが、でも、誰からも振り向かれなくても、当会としては、やる義務があるのでは、、と開催する事になりました。

  北海道や、岡山県や静岡県の森林組合からも、いらして下さって、
意外にも関心のある方々がおられる事を知り、嬉しく思いました。
●加藤様が何度も繰り返されたように、超長伐期で育てた木で、伝統構法の建物を建てる事も修理するも大事だし、集成材やCLTも、両方大事と言うご意見、つまり超長伐期施業も短伐期施業も、どちらも頑張って欲しい、というのが今回のまとめとなるかと思います。
 まだまだこれから何度もこの「超長伐期施業」の話を蒸し返しながら、当会の理想の森の姿を訴えて行かなければ、と思っております。

 それでも、やはり、今回はやってみて良かった、と思っております。

●いままで公表する事のなかった、速水様の400年生の森づくりの話を引き出す事ができた事。

●そして千葉様の、「樹木と森林の成長」のお話。また議論の中で急に振られて、答えられた「臨機応変に森づくりをすることが大事」というご意見や「広葉樹、針葉樹の公的機能に関するお話」、「木の限界があるかどうか」へのコメント、
(独)森林総合研究所、という木材や森林、林業等等に関する日本の最高の研究所から、研究者の方に参加して頂いたのは、今後に向けても大変有意義な事でした。
今後は、もっと科学に裏付けされたお話も増えて行く事と思います。

●鳥羽瀬様の、現在大工として活躍されている息子さん3人の、それぞれ工業高校での木造建築のテキストへの不満のお話も、面白い切り口でした。
今の時代でも、人を育てていく為には、親方が現場でみっちり教えていくのが一番いい、と繰り返し仰っていました。
 人が育たなければ、伝統構法での木造建築も発展出来ないという悪循環に陥っているのかな、と思いました。
 また、山に直接木を買いに行かれ、ご自分の作業場で製材される鳥羽瀬様らしく、集成材やCLTが山側に本当にメリットがあるのか、「原料」としての木材の価値では、山が潤うのか、というご意見も今後、一つの切り口として取り上げたいと思いました。
シンポジウムの後、速水さんのご意見では、集成材の柱、無垢の柱は同じくらいの価格で販売されるとのことで、加工手間のかかる集成材用の原木価格は1/3程度になるはず、とのことでした。

 やっぱり、一般の方々に、国産の無垢材で住宅を建ててもらいたいものです。
山との連携を図りながら、伝統構法の技術や世界も生き残ることができる様、200年先までもつながって行ける様、一般の方々も巻き込んで、大きな流れを作らなければ、と改めて思いました。

 今回のように、いろんな職種の方々にご参加いただき、ご意見いただく事は大変重要な事と思っております。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。     (あし)