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2005年04月03日

NO.248 中宮寺国宝菩薩半跏像

 2日土曜日は、中宮寺門跡日野西光尊様が東京国立博物館平成館にて講演なさるというので上野まで出かけてきました。
 講演後にご挨拶申し上げたら、「あら、会費をまだお払いしていませんでしょ。」とおっしゃって、お付きの方からバックを受け取られてお財布を出され、、、
 まるで借金取りのように見られたのではないかしら、、、周りの方々に大笑いされてしまいました。

 2日は、上野駅に降りて改札口をでるところからすごい混雑。文化会館と西洋美術館の間の道がいっぱいの人でびっくりしました。
 ドキドキしながらその人混みの中を歩き、よくよく見るとこども連れが断然多い。科学博物館の恐竜博がお目当ての様でした。あとは動物園とお花見でしょうか。

 博物館近くに行ってみると科学博物館からの列が折れ曲がりながら続いていて、なんと最高尾40分待ちの看板を持った係員が。 私は1時をちょっと超えたころだったのですが、もう少し前では50分待ちだったとか。

 中宮寺ご門跡のお話には会場いっぱいの方々が詰めかけておりました。何でも1200通も応募があったのだそうです。
そういえば法隆寺文化講演会も締め切りが4月9日と迫っています。
 4月25日(月)14:00〜16:30/東京国立博物館平成館にて、
東京国立博物館館長の野崎 弘氏、神奈川県立歴史博物館館長の西川杏太郎氏のお話です。ファンには必見の講義であります。申込方法は当ホームページの情報交換欄をご覧下さい。

 現在東博では、中宮寺国宝菩薩半跏像の一般公開がされています。(4月17日まで)
 奈良斑鳩、中宮寺より一体だけのおでましです。

 昨日はひょんなことから東博の金子啓明氏に直接ご説明いただく幸運に恵まれ、菩薩像の前から横から後から、見つめながら30分くらいもお話を聞かせていただきました。
 ご存知でしょうか。あしは、もう前々よりこの方の大ファン。わくわくしながらも同じく5人の仲間たちと夢見心地のひとときでありました。

 まずライティング(照明)の苦労話から、衣紋線の説明、彫りの技術や陰影、表情の優しさ、なだらかに伸びた左腕の美しさ、ほほに指先をあてる為の右肩の工夫、すっと伸ばした背筋のりりしさ、なんて綺麗な背中、肩のふくよかなふくらみ、まぶたの表現、足先のつんとそりかえった左足(当初は台座はなかった!)、独特の木寄せ法、、、、、、

『白鳳期もかなり進んだ頃の制作でありながら、しかし飛鳥時代の品格の高さと毅然とした感覚を作り、柔らかく自然で生命観のある白鳳の感覚とが見事に調和して生き生きとした独特の美しさをかもし出しているのである。・・・・ 』  解説書より

 意図的に飛鳥時代の世界観を、表現しようとしたのではないか、、、、
 その意図とは、なにか。

 それは、中宮寺が建てられた斑鳩という地に答えを見いだせる。
 斑鳩の里とは、法隆寺、中宮寺、法起寺が建てられた、まさに聖徳太子尊崇の地。
 その法隆寺の金堂釈迦像は、太子と同じ寸法 「尺寸王身」で作られたと記されている。

 そしてこの菩薩像もその金堂釈迦像とほぼ同寸法、、、、、
 金子さんのお話を伺っていると、この菩薩像が如何に洗練され、どれだけ思惟の深さを表し、なんと崇高なものなのか、伝わってくるのですよ。

 まだ拝観されていない方は、是非上野の東京国立博物館までお出かけ下さい。その際、解説書(200円)をお求めになることを強くお勧めいたします。
 魅力的な数々の写真とともに、解説されているのが金子啓明氏。解説書そのものが推理小説を読む様に面白い。

「 見れば見る程凄い像です。いい像とは、それだけたくさんのものを語ってくれるのですよ」、とおっしゃる。
 一つの衣紋の線からもその情報を十二分に受け止められ豊かな表現力を駆使される、金子さんの様な感性の高い研究者の素晴らしさにも、また深く感動したのでした。

* * *
 この日、あしは、ついに、思いきって、東京国立博物館友の会の会員になりました。これでもう券売所で並ぶことなくスイスイ〜ッと入場できるのであります。
うれし〜い。
 表慶館裏のハクモクレンと枝垂れ桜が上品な華やかさで咲き誇り、まるで絵の様。
 まことに幸せな一日でありました。     (あし)