« NO.239 雪対策は長いほうきで | メイン | NO.241 人しれず »

2005年03月09日

NO.240 仏像のひみつ

 なんだか忙しい忙しいといいながらあちこちに行っていて恥ずかしいのですが、日曜日は上野の東京国立博物館に出かけてきました。

 なにしろ唐招提寺展の最終日、解体修理中の金堂のご本尊がお堂からお出ましになるのは次の解体まで、100年先か200年先か、と言うので何が何でもと朝9:30を目指して出かけたのですが、着いたのが9:40。
 既に盧舎那仏の部屋はいっぱいの人。仕方がないのでどんどん先に行って、鑑真さんのところまで行ってやっとゆっくりご挨拶ができました。
 それからまた最初に戻って仏様にご挨拶。(こんな見方したらいけないのかしら)

 先日東京藝術大学大学美術館で開催された興福寺国宝展でも感じたのですが、最近の陳列方法がものすごく変わってきましたね。まるでお堂の中にいる様なイメージで仏様が配置されて。

 ですが何しろ最終日のおびただしい拝観者の数。特に開館前から並んでいた熱心な方々ですもの。明るい照明の中、後にまで廻れちゃう仏様の、前から横から背後から観察する様子はホントに熱心。

 いつも薄暗いお堂の中でぼうっとしながら、なんだかむにゃむにゃ一人ごちてるのが好きな自分には、どこ見ていいかわからずに結局人の波に押し出され。
でも鑑真様にゆっくりご挨拶できたからまぁいぃか。

 平成館一階で、親と子のギャラリー「仏像のひみつ」という展示をしていました。
 みなさんが熱心に見ているので並んでみたら、それが大変面白かったのです。
 東京藝術大学大学院文化財保存学彫刻研究室の大学院生製作の盧舎那仏像の製作工程を示す模型が展示されていて、ふ〜んなるほど。学生さんたちがボランティアで説明してくれるのもいい感じ。

 続いて「仏像4つのひみつ」コーナーでは、仏様が見本としてケースの中に納まっていて。
 例えば、飛鳥時代の仏像はやせているけれど、平安時代初期になるとこんなに太目になるのよ、と胸の厚い如来様が見本におかれ、平安後期になるとまたやせてくるのよ、と今度はその時代の如来様、と言う具合。
 
 普通は写真で済ませるのにねぇ。重要文化財の仏様までも、その見本としてのお出ましで、すごいと思いましたねぇ。びっくりしてしまいました。
 信仰の対象として作られた仏像を、美術品としての一面だけを切り取って見本に使ってしまうという発想。展示の世界も変わったなぁ、と興味深く眺めてしまいました。

 そういえば昨年4月から、東京芸術大学の大学院美術研究科文化財保存学保存修復の分野に、清水真一氏と籔内佐斗司氏が教授で入られたのです。
 清水氏は、文化庁出身で奈良文化財研究所建造物研究室長を務められた後、今度は人材育成が重要ということで大学へ。
 籔内氏は、著名な彫刻家。「木の文化と造形フォーラム」でも力強い活動をされています。(リンク集にHP有り)
 文化財修復の為に、何をどう改善していけばいいのだろうか。様々な分野で新しい動きが起きている様に感じた一日でした。ではまた、、