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2005年05月14日

NO.259 登録文化財の四軒長屋が料理店として大成功

 連休に入ってすぐ、「大阪人」という雑誌が送られてきました。
 丁度運良く(?)ベッドに寝たきりで何もできずにおりましたので、ゆっくり目を通すことができました。
 2月に大阪府太子町で「地域で修復のプロを育てるしくみ」という研究集会がありました。その際、四軒長屋が登録文化財になったんですよ、と話して下さった家主の寺西興一様が送って下さったのです。

 いかにも古びていて壊してマンションを建てるしかないと思っていたというこの建物が、意外といいものだということになり、一転して残すことになった、というお話。聞いていても嬉しくなってきますよね。
 そして全国で初めて登録文化財として登録されたのだそうで正式名称は「寺西家阿倍野長屋」。
 昭和8年に建てられたというその建物が、きちんと修理することで立派に甦ったのです。

 その事例が「大阪人」という雑誌のvol.59/6月号に、12ページにわたって大きく取り上げられているのです。
 そしてこの号の特集が「長屋に暮らす」というもの。大阪ではまだまだこうした長屋がたくさんあって、愛着をもって暮らしていらっしゃるのですね。それがどこもとても魅力的に紹介されていて、大阪っていい町なんだなぁ、と単純に思ってしまいました。

 そして雑誌の記事の写真をみると、四軒のうち三軒に飲食店が入って、それがまた、お洒落なの!
 大阪阿倍野に行ったら是非寄ってみたいなと思わせるようないい雰囲気をかもし出しているのですよ。
 京都でも町家レストランは人気ありますし、昔の建物って落ち着きますよね。

 寺西さんのお話で、面白かったのは、資産運用に関して。
「例えばこの四軒長屋を壊してマンションを建てるとすると、建設費は1億6000万円。2000万円を自己資金とし、残り1億4千万円を金融機関から借り受けるとする。
 家賃収入は、年間1200万円を見込めるが、金融機関へ年間800万円の返済を強いられ、固定資産税などが年間100万円。手元に残るのは300万程。(返済に何年かかる?)

 一方、長屋を再生した場合は。改修費を手持ちの2000万円の範囲内で抑えれば、金融機関からの借り入れは発生しない。毎月の家賃収入は一軒15万円としても4軒で60万円。年間720万円に達します。長屋の固定資産税は数万程度。意外にも長屋再生の方がはるかにすぐれた運用収益を誇っている」と言うもの。
 
実際、この四軒長屋の修理も、手持ち資金の中で十分間に合ったというお話でしたし、築70年の建物でも修理さえすれば、立派に再生することができるって、素敵なことですよね。

 こうした古い建物に住むことが一般的になって、伝統的な建築がもっと見直される時代が来るといいのですが。
 修理すればずっと住み続けることができるのですもの。
 日本の木材を使った暮らしを取り戻せたらいいと思うのです。そういう意味でも古民家の様な魅力的な家を修理して貸すという、そんなシステムが復活すればいいのにね。なんでもかんでも壊して新しくしなくても、阿倍野の四軒長屋のように資産運用できるかもしれませんよ。

 ちょっと前まで日本には、「家は借りて住め、本は買って読め」ってそんな言葉があったのだけど、、、

(あし)