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2005年05月18日

NO.260 何かを取りもどさないと

 最近の世相は、なんとも自分の持っている常識では考えられないことばかり。
尼崎でおきた悲惨な脱線事故の後、線路に置き石をしたり自転車を放置したりする、そんな人間がいることが全く信じられないのでした。
 
 でも昨日のニュースで、自転車を線路に再三再四放置したという25才の男性がつかまったと報じられていました。
何でもあの尼崎の様な事故を起こしてみたかったのだとか。なんとおぞましいこころ。

 また、女性に首輪をつけて監禁していたという男性もつかまりました。
 女性を愛玩物としか見ないコミック誌やDVD、ゲームソフトが出回っているのだとか。何をもってその女性の人権も無視し自分の従属物と見なせるのか。殺人を肯定するのと同じくらいの社会悪だと思うのだけれど、こうした話を愛読する人がいるってことも気持ち悪い。

 そんな世の中のしんどさから離れて、先日、14日15日とまた地域の仲間たちと雑木林の中で過ごしてきました。

  一昨年の秋からずっと山に鬱蒼と茂っていた木々を除伐し、斜面を覆っていたササを払い伐根し続けた結果、林床に陽が入り、たくさんの植物が芽吹き花を咲かせていました。

 今までの茶色だった林の中がまるで別世界。みどりの中に点々とヤマツツジの赤や濃いピンクが映え、空気まで柔らかく爽やかな香気に満ちておりました。

 仲間たちと小さな草花の本を片手に探しただけでも、ギンラン、シュンラン、ギンリョウソウ(属に幽霊草、まだほとんど土の中でしたが)、スミレ、チゴユリ、ツボスミレ、フモトスミレにカキドオシ、小さな花を懸命につけておりました。また花が終った後のクサボケも、その他いろいろ(調べきれなかった、、、)

 なかで 一番感激したのが、ミミガタテンナンショウという名前を覚えたこと(属にマムシグサ、ホントにマムシが鎌首を持ち上げている様に見えるのですよねぇ)。
 丁度通りかかったSさんに、「この名前知ってます?」と問いかけたら、「あぁそれはねぇ、ミミガタテンナンショウ」と即座に答えが返ってきたのにはびっくり。大尊敬してしまいました。

 自然が大事と言葉で言うだけではダメとホントに実感します。こうやって何度も山に行って、足腰痛いなんのかんのと言いながらの作業を通して、やっとこの初夏に、小さな草花がつけた可憐な花を見て山に親しむことの嬉しさや喜びが少しわかった。

 文化財だって多分同じこと。その地域に住んで、その時々の神事や行事、お祭りに関わったりしてこそ、残さなくちゃ、大事なのよ、とより実感できるのでしょうね。私の様に、行って、勝手に癒されている人だってそのありがたさがわかるのですから。

 私は、はるか昔からたくさんの人たちによって守られてきた文化財を後世まで残したいと思い、この活動に関わっているのですけれど、だからといって他には無関心、というわけじゃない。
 自分の中では、文化財も山も女性やこどもの人権も安全や平和も地球の温暖化防止もみんな根っこのところではつながっていると思っているのです。
 みんな考えなくちゃいけないことばかり。どれに目を塞いでもいけないし何かをしなくちゃ解決もしない。

 うまく言えないけれど、他人事って思っていたらきっとなにもわからないのだろうな、と山で体感してみて思ったのでした。

 ではまた               (あし)