« NO.260 何かを取りもどさないと | メイン | NO.262 ニッチって? »

2005年05月21日

NO.261 「民家の知恵は森も守る」と「もったいない」

昨日は、神谷町の「虎ノ門パストラル」まででかけてきました。

(社)日本林業経営者協会(林経協)青年部の総会に当会の紹介をするため。
 15年度に発足した「補修用材と技術の委員会」「補修用材確保策検討委員会」が合同で進めてきた委員会の中間報告作成に向けて、実際の森林所有者の御意見を広く伺いたい、ということでご挨拶にでかけたものです。
 5月12日の第8回合同委員会を経て、まとめ上がったばかりの中間報告案を持って説明の為、滋賀からTさんが有休を取って日帰りで来て下さいました。

 青年部総会の最後に30分時間をいただき、趣旨説明。
 やはり、スギヒノキの価格のあまりの低迷を嘆く声、今を乗り切ることで精一杯なのに、という声もありましたが、若手のYさんから、「だから100年200年先のことを考えられるのがいい、私もこの会の会員です。」という言葉をいただきホッといたしました。

 林業家の皆様に、どうぞ大径木を残して下さい、とお願いするしかありませんが、そのためにも、できることは一緒に検討していきましょう、と佐藤会長はじめ、事務局長の飯田様や皆様に言って頂きありがたく思いました。
 個人的には、以前から親しかった林業家の方々にたくさんお会いできて、お話できたのがすごく嬉しかったけど。

 私たちの前に、盛岡市の林業家金沢滋さんが、ご自宅を大改修されたことを発表されていました。約130年前の岩手師範学校の材を使って70年前に建てられたという風格のある家。新しい部材ではなんとも合わず、蔵の解体材等を利用し、古い部材も建具もできる限り残したという、そのお話だけでもぬくもりを感じるお家。
 また同じ盛岡市で古い大きなみそ蔵を事務所に作り替えたという徳清倉庫株式会社佐藤重昭さんの事例報告もあり、大変興味深く聞かせて頂きました。

 金沢さんのお家の様に、古い家が、大事に利用され、その良さを感じながら暮らせたらいいですよね。
 古いからというだけで壊され、太い桁や梁も黒光りする柱や床板や建具も、全く利用されることなく廃材となってしまうのはどう考えても「もったいない。」
 日本全国では、毎年10万軒の民家が壊されていると、テレビで言っていましたが。

 だから最近、そういう古民家をとても上手に利用しながら、明るくて暖かく使い易い家屋に改修した事例が増えてきたのは、とても嬉しいことですよね。

 今朝、たまたま見たNHKのテレビ「地球大好き/復活、古民家のこころ」でも、塩山市の石川重人さんが、取り組んでおられる「民家バンク」の活動が紹介されていました。「民家の知恵は森も守る」とタイトルが画面に。

 テレビでは紹介されませんでしたが、石川さんの会社は、社寺文化財建築「伝匠舎」(株)石川工務所。
 釘や金物を使わないで建てられた伝統建築の素晴らしさを熟知した社寺建築の専門家です。
 当会理事の後藤治先生も出演なさっていて嬉しくなりました。

 200年300年の材で立派な家を作ろうよ。そして長く住み続けよう。古民家も修理すれば立派に甦る。だから立派な森を作らなきゃ、という考えが復活すれば文化財の補修用材に使う木だって、今のままでは枯渇する、なんて心配しなくてもいいのにね。
 
 「もったいない」
 日本のこの言葉を、英訳するのはとても難しいのだそうですが、外国の方から「素晴らしいことば」です、と見直されてきた昨今。「もったいない」のこの精神、言葉だけじゃなくて本当に残したい。    (あし)