« NO.294  今のままではチンプンカンプン? | メイン | NO.296  草木塔をご存知ですか? »

2005年10月08日

NO.295  NHKテレビ「ハルとナツ」

 前回ご紹介したチンプンカンプン、って中国語の先生から伺った時は、すごく面白いと感心したものです。それにしても「珍糞漢糞」の字はひどいのではないか、と友人からメールが届きましたが、ホントにそうですよね。
 だから私には、ティンプトンカンプトンの方が面白い。

 NHKテレビで五夜連続で放映していたハルとナツのお話を見ました。
なんだか、はまっちゃって、毎晩見てしまいましたよ。見られないなと思う晩はビデオに撮って。


 ブラジルに渡った一世の方々のご苦労を初めて知りました。
 国が奨励したブラジルへの移民。トラホームにかかっているという理由で、四人兄弟の末っ子のナツは船に乗せてもらえなかった。以来70年ぶりに、お互いの届かなかった手紙を読むことで、わかりあえ、再会を喜び合えた姉妹ハルとナツのお話でした。

 ハルの話は悲惨でした。身一つで来ても十分暮らして行けると聞かされバラ色の夢を持って家族や叔父夫婦とブラジルに渡ったけれど、農園での暮らしに必要な品はすべてツケで購入というしくみ。しかも割高の農園内の売店しかない。翌年の収穫後に賃金から差し引くと全くお金が残らない年もあり、また借金ばかりが増えるという悲惨な生活。マラリヤにかかってもお金がなくてお医者を呼ぶにも躊躇し、次男が死んでしまう。

 そのまま奴隷の様に働くしか生きて行くすべがない。しかも日本人ということで一段下に見られての我慢できない環境。
 命がけで逃げ出すことで、作り上げたつかの間の幸せも、祖国日本が太平洋戦争に突入することであっという間に壊され、翻弄される。ブラジルでの生活を嫌って日本に帰った長男も戦死した。

 最終回の最後にきてようやく救われたような気持ちになりました。
 苦労ばかりしたブラジルより老後はゆっくり日本で暮らしたい、と願って妹のナツを探しに70年ぶりに日本にやって来たハルが、最後に、子や孫たちに囲まれて暮らすブラジルこそが自分の故郷と気づくのです。

 ハルと再会できて初めて、自分は捨てられたのではなかった、ずっと愛されていたと知ったナツが、ブラジルの姉を訪ねて行くところでお話が終るのですが、ハルとナツの心からの喜びが伝わってくる。ここへきてやっと、いいドラマだった、とホッとしたのでした。5夜連続だったのでついつい夢中で見てしまいましたけれど、5週連続だったら余りの暗さに見る気が失せたかもしれない。

 時代は違うけれど、兄の中学の同級だった女の子が家族とともに、やはり鳴り物入りで北朝鮮に帰って行ったことがありました。多分お父さんが北朝鮮出身で、お母さんは日本人だったと思うけれど。もう40年以上も前の話だけれど。
 あの子はどうしたろうか、無事に暮らしていればいいけれど、と先日、母と兄が話していました。

 国策って怖いですね。
 私たちの暮らす日本の繁栄って、こうしたいろんな国策が絡み合って今につながっているのだと思うのだけれど、だからいろんなこと、もっと知らなければいけないんじゃないのかな、そう思ったのでした。
 ではまた、(あし)