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2005年10月21日

NO.297  比叡山

 お久しぶりです。先週は京都・奈良に会合や打合せのため出かけ、週末は、地域の仲間たちと喜連川の林業作業。
今週に入って、森林総研100周年記念シンポジウム(19日)に参加したり、他の会議に出たり、作業をしたり大変気ぜわしく過ごしました。

 前回、草木塔という木に関する話になりましたので、比叡山の林業のお話につなげて見ることにいたします。

  夏の暑い日、比叡山延暦寺の誉田玄光様をお訪ねしたときのこと。
12月4日のシンポジウムのパネラーをお引き受けいただく為にご挨拶に伺ったのです。

 誉田様の肩書きは延暦寺副執行管理部長。
 山の管理も誉田様の担当、大学では林学を修められたというご専門だったのです。山での施業管理から、林業経営、最後は自然とはなんぞや、という自問自答まで、いろいろお話して下さいました。

 まことに誉田様お一人の講演会にしてもいいくらい、今の森林や林業のありとあらゆる問題が比叡山というお山の中に詰まっておりました。
 次々に話されるお話は今の厳しい林業そのまま、試行錯誤しながら悩みながらのお姿は、林業経営に腐心されている山の人そのもの。
 ちなみに延暦寺のお山の担当者は、5名、一年ごとに契約する労務班10名。誉田様も普段は、つなぎの作業服姿で山に入られるのだそうで、目の前の衣をお召しのお姿からは想像できず、ちょっとびっくりでした。

 林業における苦労話と言えば、この夏お邪魔した小春さんの山でも伺った深刻なシカの被害がありますが、比叡山でもあきれる程にすごい状況
 
 皮をはがれ、若芽もやられる。最終的にはネットで囲って防ぐしかないけれど、1700haもある全山を覆うのは不可能。
 ネットの高さを2mに上げても飛び越えてくる。15年くらい前から被害が深刻になるばかりなのに、前からのネットは腐らず、山の中にゴミばかりが増えると嘆かれる。

 特に植林をした場所などは、植えても植えても、新芽を食べられて全滅だそうで、寒冷紗、タマネギのネット、ペットボトル、動物の糞、などいいと言われるものは全部試しましたよ、とおっしゃる。
 ヒノキの苗を4000本植えたところも全滅。また植えて全滅。3回目にはスギを植えてみたけれど、全滅。
 お寺の山で殺生するわけにもいかず、もうあきらめの境地とか、、、

 シカの被害さえなければ林業はもっと単純だと思っていましたよ。平成になってからシカが目に見えて増え、おまけに材価は安いし手間賃は高いし、どうしたらいいのでしょうね、文化遺産の補修用材云々以前の問題です、と言われてしまいました。

 今度のシンポジウムにパネラーのお一人としてどのようなご発言がいただけるか楽しみですし、ほんとうに興味深い内容になりそうです。

 また、当会の来年度の見学会は、この比叡山の森林見学を予定しています。
 他に坂本、大津など今、検討中。時期は未定ですが、ちょっとだけお知らせまでに。 ではでは(あし)