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2005年10月31日

NO.300  自転車禁止

 本当に月日の流れるのは早いですねぇ。今日は10月最後の日。

 運動会の季節になると、いつも思い出すことがあります。
 もう随分昔のことですが、小学校のPTA役員をしていた頃のこと。(私も若かったのですよ)運動会の日はいつも、父母の乗ってきた自転車が学校の周りに、延々と並ぶ光景が一般的だった時代がありました。

 
 児童数1000余人。30クラスもある小学校ですので、その凄まじさはご想像いただけるでしょうか。クラス委員のお母さんたちも総出で自転車整理に当たるのですが、事前にどんなに自転車禁止と言われても、後から後から乗り付け、校庭に駆け込んで行かれる方々の対応で毎年大変な思いをしておりました。
 
 そこで、その年は『自転車に乗ってきちゃダメキャンペーン』を徹底させることにしたのです。役員みんなで考えて、なぜ、学校に自転車に乗ってきちゃいけないのかを徹底的に討議したのです。

1 逃げ道の確保
 まず、多勢が集まる場所の入り口を自転車で塞ぐことの危険性。
 もし地震や火事が起きた場合、たった一台の自転車が倒れても、そこに逃げようとする人たちが殺到したらどんな大惨事になるか想像して欲しい。

2 緊急車両用通路の確保
 例えばお子さんが怪我をしたり、せっかく見にきてくれた祖父母の方が倒れたりするかもしれない。自転車が通路をふさいでいる為に、救急車がすんなり入れず、手間取っているうちに手遅れになったらどうします?
 常に緊急車両が学校内のどの場所にも即座に到着できる様にその道を確保しておきたい。

3 通学路の点検
 いつもお子さんが徒歩で通う道。お子さんの身になって、通学路に危険なものがないか点検の意味でも、お子さんとの話題作りの為にも歩いてきて欲しい。

4 委員の負担の軽減
 毎年、自転車整理の為に委員のお母さんたちがかり出される。下手するとご自分の子どもの出場場面も見られなくなったり、大変な負担をかけていることを知って欲しい。

 この四つにしぼって、みんなが自転車に乗ってこなければ、問題ないこと。
多勢が集まる場所には徒歩で行くこと。これからもいつも心がけましょう!と訴えた。
 B4のわら半紙(昔はこう言ってたのよね。今はコピー用紙っていうのかな?)全面に大きく書いて、全校生徒に配ったのですよ。
 先生方にも協力していただいて子どもたちに伝えてもらった。

そして当日。

 驚くべきことに、校門周辺、学校の周りには、一台の自転車もなかったのです。
 うっかり乗ってきたお父さんたちも、自転車がないのに気がつくと、途中からUターン。
 毎年おこる「ちょっとだけいいだろう?」「子どもが出る間だけ見逃してよ」:「困ります」、といういざこざも全くなく、校門では腕章を巻いたお母さんたちがぶらぶらするばかり。

 もう20年も前の話ですが、危機管理なんて言葉も知らなかった時代。

 後片付けも終わり、家に帰ると、「見事だった。」と夫がひとこと。
今までで一番嬉しいことばだった、と今でも思う。

 子どもの成長とともに母親も成長させられたあの頃、運動会での一こまでした。(あし)