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2006年01月20日

NO.312 平成18年度見学会下見

 昨日は夕方からドンドン冷え込んで、うっかり外に出ようものなら震え上がる程の寒さでした。
 先週末から17日まで来年度見学会の予備調査や打合せの為に滋賀に行ってきました。
 三井寺や延暦寺へご挨拶、金勝寺や不動寺、明王院にも行くことができました。
 というわけで、来年度の見学会の予定がだいぶ決まって参りました。

 日程は、5月28-29日。
 宿泊予定の延暦寺会館の空き具合で5月28-29日に決定。比叡山のお山の上、根本中堂の近くに建つ新しい建物です。
 夜は、遥か下界の街の夜景が、朝は清々しい新緑と白く光る琵琶湖が見えることでしょう。

 但し、朝寝坊の人にはちょっと辛いかもしれません。
 なぜかというと、6時半から朝のお勤めと法話があるのですよ。でもあの根本中堂で、です。そのあと朝がゆの食事が終ったら、延暦寺法務部長の誉田玄光様から比叡山の林業や法灯を守るお話を伺い、山を一時間ほど歩く予定です。
 
 文化財の修復工事現場見学は、葛川の明王院と三井寺の檜皮葺き替え工事です。
 三井寺では、寺名のもととなったという御井(みい)、の水音を是非お聞かせしたいもの。金堂の傍らに建つ、普通だったら気がつかない程の閼伽井屋の内なる岩組より湧き出ずるご霊泉。響き渡るその鼓動は、私には地底からの声に聞こえる・・・何度立ち寄ってもミステリアス。

 明王院、金勝寺、多分行きたくても行けなかった方は多いのではないでしょうか。
 現在、この世に生きているはずの自分が、ふと違う世界に迷い込んだようなそんな息づかいを感じる地が滋賀には本当にたくさんあります。
 彦根に5年暮らして、湖東や湖北の魅力に取り憑かれたけれど、湖南にもたくさんの不可思議な空間が散らばっているのです。

 多分栄華を極めた時代があり、今忘れられようとしている処。
 道端の石にも千年の歴史がありそうで。
 姿かたちは何も見えないのに、時の流れに身をおいた人々の気配が今も漂う。

 傾き倒れそうなお堂の前で私たちは何をしたらいいのでしょうか。
 一度壊れたら確実に失われるであろうお堂や山門の前で、
 昔をしのぶことしかできない礎石の前で、何を考えたらいいのでしょうか。

 また、誰も来るはずのない山の奥のお堂、訪ねる度に掃き清められているという、お榊が取り替えられていると言う、誰が見ているわけでもないのに、ひっそりと境内をはき続ける人がいる、草をひいている人がいる。

 年に何度かの宗教儀式が執り行われるという、無住のお堂。
 それを大切に守り続けている集落があり人がいるという。

『山岳信仰を訪ねる・・心の旅』
今、企画中です。  ではまた (あし)