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2006年05月03日

NO.329 善水寺薬師如来坐像

 総会の準備が遅々として進まず、また、私事でも気が塞がりがちな今日この頃、戸外の緑だけは素敵に輝いています。
 上野の東京国立博物館で開催されている展覧会「最澄と天台の国宝」がもうすぐ終わりというので(7日まで)、昨日やっと見てきました。たくさんの方が見に来られていてすごいなぁと思いましたが、やはり年配の方々が多いですね。

 
 若いカップルが来ていて感心だな、などと思いながら一緒の流れに乗って見ていたら、あったあった、ほら阿修羅だよ、という声。え?どれどれ?と思って見たら明王院の千手観音でした。続いて、こっちの方が手が多いねって。(若い人でもこんな思い込みをするんだなぁ、と思いながら聞いておりましたが、、、まるでうちの母みたい、、、)

 もうすぐ見学会でこの葛川の明王院を訪ねるので嬉しくなりました。
 嬉しくなったと言えば、今回の見学会に加えようと思ったものの時間不足の為断念した滋賀・善水寺の秘仏本尊像、薬師如来坐像がいらっしゃったのですよ。

 かつてはもっともっと燦然と輝いていらしたのでしょう。所々、金箔がはがれて下地の黒漆が、またその黒漆もはがれ素地が出ていたりのお姿。正暦4年(993年)に造像されたという、その千年以上もの遥かな年月を人々はどう守り続けたのでしょうか。

 端座されるお姿を横から拝見してまた深く心を打たれました。丁度天井からのライトの当たり具合によるのだけれど、お顔の左頬から鼻にかけての横顔、その伏せたまなざしの美しさに引き込まれる思い。深い深い瞑想の世界。

 なにしろ本来なら50年に一度しか拝むことができない仏様なのだそうで、そんな仏様にお目にかかれて、なんと幸せなことか、と思わず手を合わせました。
 善水寺はまだ行ったことのないお寺。一度伺ってみたいと思いましたね。

 さすが天台の名宝展。どれもこれもすごいものばっかりで、堪能して帰ってきました。普段なら簡単には拝観できないようなものばかり。さすが国立博物館、すごいねぇ。
 
 でも図録に掲載されている写真で出品目録から外されているものや、また、出品が決まっていたのに盗難にあって行方がわからなくなったものがありました。
(島根・鰐淵寺所有の重要文化財「一字金輪曼荼羅図」鎌倉時代(13世紀)が昨年8月末に盗難に遭い現在行方がわからない。情報をお知らせ下さい。との一文が図録に挟んでありました。大切に守られてきたものを盗むなんて、許せないことですよね。)
 こういうことちょっと目にしただけでも、一つの展覧会を開催する為のご苦労って大変なことなのだろうと推察します。

 それでもこんな立派な展覧会ができるのも日本という国が平和だから。このありがたさをもっと認識しなくちゃね。

 今、駒込駅のツツジがきれい。電車がホームに滑り込んだ途端、車内がぱぁっと華やいで、一瞬何が起こったかわからないぐらい。
 気がついてみると、丁度坐っていた座席の向かいの窓という窓の外が全部、満開のツツジでいっぱいだったのです。ピンクや薄い赤紫が若葉の緑と競う様に車内に飛び込んできて、そこに居合わす人たちがみんな綺麗に見えたのですよ。

 平和な美しい日本の、文化を堪能した一日でした。(あし)