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2007年05月23日

NO.383 ご報告/読売あをによし賞その後

ご報告
 第1回 読売あをによし賞は、ものの見事に落選しました。
 選ばれたのは、本賞が、財団法人文化財虫害研究所
(田村正人理事長、東京都新宿区)=博物館や寺社などでの虫・カビ害の防除対策とその普及事業
 奨励賞が、模写制作家・富沢千砂子さん(京都市伏見区)と加藤純子さん(愛知県東郷町)=国宝『子島曼荼羅』(平安期、奈良県・子嶋寺蔵)の復元模写 とのことでした。

落選の弁
 木造文化財の建物は、だいたい100年ごとに小修理、300年か400年ごとに解体して痛んだ部材を取り替えるなどの大修理を繰り返しながら、保存維持していくのだと聞きました。
 奈良斑鳩の地に今も在る法隆寺は、607(推古15)年に創建されたお寺です。
 再建か非再建かと随分議論されましたが、再建説側にたったとしても、1300年もの歳月を、あの五重塔も金堂も変らぬ姿を保っています。まさに世界最古の木造建築。
 でもそれを補修する為には、「同樹種」、「同品等」の補修用材が必要となるのです。それを「同技術」で修理してこその世界遺産。

 日本に現存する天然木はもう希少。300年400年先までも、ちゃんとあるかどうか危惧されていますが。
 今後は人工林の中で、実生(みしょう)による・・(人の手で植樹したのではない)天然林づくりも必要になるだろうと言われています。文化財修理に直接、手を触れる訳ではないのですが、そんな山づくりに懸ける人たちにも、文化財を守るという観点から光が当たるといいなと思っているのです。

 新築の際には、どこからの木か結構取り沙汰されますが、例えば、世界最大の木造建築、東本願寺の明治の再建の際には、全国の門徒さんから献木の申し出を受け、書類選考した上で、選ばれ運ばれた、と伺っています。
 こうした献木の事実は全国各地に言い伝えられており、東本願寺HP、「再建の軌跡」でも興味深く読むことができます。
http://higashihonganji.jp/ayumi/06_11/1.html
http://higashihonganji.jp/kiseki/index.html

 しからば、文化財の補修用材に関しても、用材を選ぶコンクールがあったりして、それに全国各地から自慢の木が応募して、(もちろんまだその時点では伐らないけれど、)選ばれた木や森には、名誉ある「文化財保存林」の称号がつくような、そんな世界ができたらいいなと思うのですよ。

 落選して、しみじみ思う<あし>でした。