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2007年06月22日

NO.389 「戦争という仕事」を読んで欲しいわけ

 NO.388から続きます。
 先日、この「戦争という仕事」を読まれたある方が、「大変感銘を受けました。この本が「国家の品格」のように何百万部も売れたら世の中少し変るのではないか、」とおっしゃるのを聞きました。
 私もそう思うのです。

 
 第一章の「戦争という仕事」、を読んで、なぜ戦争が無くならないのか、、、戦争を否定しきれない現代の労働のあり方を考えました。誰もが平和を望んでいるはずなのに、なぜ戦争が無くならないのだろう、という疑問に答えは出たけれど、恐ろしい話しであります。

 ここでは、第六章の「資本主義と仕事」、の摩擦、という項目から少しだけ引用してみます。
 
 前略、中略・・・資本主義がそれぞれの伝統社会との摩擦と協調をとおして生まれたとき、世界には「旧時代」との摩擦を経験することなく生まれた、アメリカという資本主義社会もまた発生していた。先住民の歴史を抹殺したために、アメリカは「過去」を持つことなく出発したのである。それゆえにアメリカは、「過去」の精神や考え方、社会システムなどの干渉を受けることなく、「純粋」な資本主義として成立した。すべての価値を貨幣量ではかり、貨幣をふやしていくことを経済活動の唯一の目的とする資本主義の論理は、アメリカという社会の中で自由に展開することができた。

 このアメリカ型資本主義が世界化されて行く過程として、今日の経済のグローバル化はすすんでいる。アメリカとは異なる資本主義は、この動きを拒否できない。なぜなら資本主義の原理に純粋に従えば、アメリカ型資本主義に近づいていくことになるからである。

 そしてそのことは、資本主義に様々な形を与えた、その社会の「過去」との協調を切り捨てることを意味する。伝統的な精神や社会システムなどを廃棄し、「過去」をその社会から消し去ることが求められているのである。
 私たちはいま、このような資本主義の歴史段階のなかに立たされている。

 「戦争という仕事」第6章 資本主義と仕事 摩擦 (p.176)  より


文化遺産を守り継ぐことと、このアメリカ型資本主義が相容れないこと、まず、はっきりと認識しなければなりません。

 この本がベストセラーになればいいなぁ、と願ってご紹介。
 多分、本屋さんではなかなか手に入りません。ネットで注文するのが一番早いかも。

「戦争という仕事」内山 節(たかし) 信濃毎日新聞社発行 1890円