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2007年08月22日

NO.399 便利堂とコロタイプ

 先日来、伊藤若冲の描いた「釈迦三尊像」と「動植綵絵」を一堂に掲げることがいかに素晴らしいことであるかを書いていますが、「動植綵絵」が宮内庁に所属する限り、多分それはもうあり得ないこと。

 そこで相国寺では、宮内庁の許可を得て、動植綵絵の複製を作ることにしたのです。
 複製品の製作をどこに依頼するか、、、

 相国寺では、便利堂という、京都に在る美術印刷を手がける会社に発注しました。
というのも、コロタイプ印刷、特にカラーコロタイプを開発し、その技術を持つのは昔も今もこの便利堂一社だけというわけで、もちろん国宝や文化財の複製なども数多く手がけてきた実績を持つ、創業明治20年という会社なのであります。


 コロタイプというのは、150年前にフランスで生まれた印刷技術だそうで、ガラス板を原板に使用することから、かつては「玻璃版」と呼ばれていたのだそう。
 日本には、明治16年(1883年)内閣印刷局にて導入されコロタイプ印刷が開始した、という歴史があります。そして一般でも昭和40年代頃まで、美術図書、絵葉書、観光案内書、記念アルバムなどに広く用いられていたのだそうですよ。

 身近なところでは、昔の卒業アルバムの記念写真など、お持ちの方も多いのではないでしょうか。でも、時代の流れとともに、より安価で高速で大量に印刷出来る技術にとって替わられ、今はオフセット印刷が主流となりました。

 ですがオフセット印刷は、4色(赤・青・黄・黒)の小さな点(網点)の大小で濃淡や全ての色を表現するのですが、コロタイプは、「感光液を含んだゼラチンは光の量に比例して硬化する」という性質を利用したもので、網点表現を使わない滑らかさが特徴。実際に拡大されたものを見るとその違いがよくわかります。 
 
 「百聞は一見にしかず」
いろいろ説明するよりも、工房を見学するのが一番なのですが、とにかくお伝えしたいのは、その手作業のすさまじさ。

 でも長くなるので続きは明日。 (あし)