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2007年10月30日

NO.416 公共の大家さん

まちづくり 点から線へ 線から面へ、そして核には文化遺産を
    〜文化遺産・木造の良さを現代に生かすには〜

 山に大径木を残すには、どうしたらいいか。それには今の、日本の山の木がどんどん売れて、林業が産業として復活できればいいのです。
 林野庁でも「木づかい運動」を提唱していますが、飛躍的に国産材を使うにはどうしたらいいか。 
 やはり住宅に使うのが一番。木造住宅を建てることですよねー。

 でも世の中の情勢はそうはいかない。
 現に、ただいま進行形で、我が家の近くに建て売り住宅10軒が建築中。
 駐車場だった300坪くらいの土地にクレーン車が来て、あれよあれよという間に壁板や床板だけがパタパタと建っちゃった。
 
 夕方、誰もいない現場に行って、様子を見てきました。
厚さ10mmの三層の合板がパネルになっていて、(ちょうど昔のコンクリートの型枠のような形)壁板として組み立てられてる。つまり柱は無し。断面が40〜50×100mmくらいの、軸組工法でいうなら筋交いに使うくらいの板が、壁パネルの枠になっていて、それが柱の代わりといえるのでしょうか。土台との接続部分は、それが薄いT字型の金物で止めてあるだけ。まるで仮設住宅のよう。
 それでも国産の合板だったら、と思って良く見たらカナダ合板協会2級ccとはんこが押してありましたよ。

 そんな構造でも、窓のサッシを入れて洒落た外観を貼ってしまえば全くわからないのですものね。買い物帰りなどにご近所の方と会うとヒソヒソと、「これでも4000万円以上するんですって」「隣から火が出たら助からないですよねー」などともっぱらその話題。

 もちろん防火防燃材で覆うのでしょうけれど、厚さ1cmの合板で作った家ねぇ。

 湿気を含んだら壁板からベコベコになるような、こんな家を買ったら、後が大変でしょうねぇ。柱や梁で二階や屋根をしっかりと支える家なら、壁を取り替えることは可能だけれど、補修どうやってするんでしょ。
 というより、今どきの家は、修理なんてしないで全部壊して建て替える、のが前提なのでしょうね。

 家が建て替えられる度に、ものすごい量の資材が産業廃棄物となって捨てられる。
その度に木材からはCO2が放出される訳で、地球温暖化阻止の観点から言っても、いつまでもこんな状態続けていいとは思わないのだけれど、

 昔からある日本家屋の素晴らしさって、ことばじゃ言えない。柱も梁も、つややかに磨き上げられた廊下の床板も、その家の歴史を物語る。そしてそんな家をいとおしみながら暮らしている方の人柄も<あし>は、好きになる事が多いけど、古いからと、文句ばかり言っている人はどちらかというと苦手。

 <あし>のアイディアは、国や地方自治体が、一定水準を保持している日本家屋を、たとえば登録家屋として認定して、ただ保存するのではなく、それを借りて住めるようになったらいいのにね。つまり公共の大家さん。
 
 木の家の良さをみんながもっともっと知るべきだし、その良さをわかる人がたくさん増えると良いと思う。寒い、だとか機能的じゃない、だとかそんなマイナス面もきっといろんな知恵で解消出来ると思うのだけれど。
 京都の町家に暮らす、なんて特集が出るくらいなんですもの。憧れている人って結構多いと思うのですけどね。

 私は、太い梁の見える家に住みたい。ずっとそう思ってる。そして毎日何回も、この家に住めて良かった〜って言うのが<あし>の憧れでありますよ。。。。