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2008年05月20日

NO.436  「風向計」より 未来の子どもに何を残すか 

 愚痴はだめよね。
 聞いてる人も辛くなるし、なにより自分がいやになりますものね。
 でも、前回のこのページを読みました、とお会いしたこともないのだけれどと、わざわざ電話をかけて下さった方もいらっしゃってね。
 頑張って下さいね、と励ましてくださった。
 何でもない言葉が嬉しかった。
 頑張るしかないんだから、と自分でも思うのです。頑張れ、と言われて頑張ろうと思えるのが嬉しい。まだまだ元気みたいです。ご安心下さいね。

 速水さんの「風向計」4/24の分、紹介します。
 http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/fukokei/fuko080424.htm
 100年先の視点を持たなければ、と。
 この会の活動は、200年先のための活動なのだけど、でも現実とあまりにかけ離れていると、修正不可能みたいに思えてしまうけど、でもめげていたら駄目ですものね。
 やっぱり200年先を見て、頑張らなくっちゃ。<あし>

未来の子供に何を残すか
速水林業代表 速水 亨さん

 4月1日から京都議定書の実行期間が始まった。日本は、二酸化炭素(CO2)などの地球温暖化物質の排出量を1990年比6%削減するのが議定書の約束だったが、現在は増加してしまい12・4%の削減が必要になっている。
 地球温暖化問題はCO2の増加が原因だという議論には常に賛否両論があり、それ以上に本当に温暖化に向かっているのかという疑問さえある。しかし疑わしきはまずは備えようということが、今の温暖化対策といえる。
 我々の社会は、複雑になればなるほど、自然災害に脆弱になっていく。それを考えると、温暖化の可能性を排除するために努力することは、今の社会の便利さを享受している我々には必要であるに違いない。だが、残念ながら今の社会はけじめを失ったように、目に見える便利さを追い求めることにまい進し、より複雑になった。

 3年前に私の住む地域が連続雨量876ミリと言う猛烈な豪雨に襲われた。町内の世帯数の半分以上が水没する大被害が出た。温暖化が引き金かとも思われる異常な豪雨で、1本しかない立派な国道が崩れて不通になった。
 その時に江戸時代に整備された石畳が森林の中を続く熊野古道は全く被害を受けず唯一の交通ルートとなった。近代装備に囲まれた生活は、一本の古道で救われたのだ。水没した電気製品は使い物にならず、役所も被害に遭い機能不全に陥った。頼みの携帯電話も電気が来ないために充電が出来なくなった。人口1万人の小さな町でさえ複雑な現代社会が災害に弱いことが分かる。
 しかし、その複雑さがあるがゆえに経済の持続的な発展があるとも言える。だからこそ、社会を守るため、構成員はそれぞれの規範を持っていなければならないが、個々の判断を会社や人々に求めることは、難しくもあり、酷でもある。その役割は政府にあると思われる。

 92年の「環境と開発のための国連会議」で持続的開発という方向で今後の世界を導いていくことが決まった。その内容は幾つかあるが、資源や環境の持続性と共に国家間、民族間の平等と、世代間、生物間の平等も大事な要素となっている。どれも重要だが、特に世代間の平等は、政治や経済を考える際に非常に重要な視点であると思われる。
 100年先、あるいはもっともっと未来の子供たちに我々は何を残していくのか。そんな視点が今の政治や経済には欠けている様な気がする。
 社会全体がCO2の削減という難しい問題を考える時、このような視点を持って考えれば、地球の未来は少し明るくなるかも知れない。

(2008年4月24日 読売新聞)
速水 亨さん 1979年から三重県紀北町で家業の9代目に。06年から日本林業経営者協会会長。54歳。