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2008年09月04日

NO.443  風向計より〜「開発重視」見直す機運

 高野山のお話を続けるつもりが、思わぬ不覚。
 めまいで一日ダウンでした。なんだかここ何日か、朝起きた時ふうっとめまいがするし調子悪いので変だなぁ、と思っておりましたら、いきなり起きられなくなりました。
 とにかくめまい。天井がグルグル廻っていて、、ウ、、気持ち悪い〜〜。
 まるで二日酔い気分なのでありますが、ずっとアルコールっ気なんてないし、、、、、

 でも、一日横になっていたら、というより良く眠ったら収まりました。単なる睡眠不足だったのかも。エへ

 読売新聞社のS様より、当会共同代表の速水さんの風向計が届きましたので、転載させていただきます。

 風向計より〜「開発重視」見直す機運  速水林業代表 速水 亨さん
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/fukokei/fuko080830.htm

 8月23日に尾鷲市にある熊野古道センターで熊野古道協働会議が開催された。
 この会議は、熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されようとしていた2004年2月、様々な立場で関わる人々が一堂に会して議論し、情報を共有し、共に熊野古道を目指すべき姿に近づけることを目的として設立された。
 「紀伊山地の霊場と参詣道」とは、なかなか覚えにくい名称である。参詣道とはつまり熊野古道である。それと共に霊場がある。熊野古道は、熊野三山や那智の大滝、それに続く原生林、そして吉野山、大峯山の寺社仏閣を中心とする地域、高野山を中心とする地域を総称している。

 三重県に関しては、実は寺社仏閣という中心的な施設はなく、峠に残る山道と呼んでいいような古道があるだけである。その道の一部は注目される前は草に覆われてかき分けて歩かねばならなかった。
 つまり、あくまでも峠に残る山道を今一度「蟻の熊野詣」と称された江戸時代の姿を思い起こさせるように保護保全し、古道を訪れる方々に熊野信仰の根底にあった自然崇拝と再生の心感じていただくためには周辺の人々の働きによるしかなく、必然的にこうした人々が主人公となっていった。そして、古道の活用よりも保護保全に高い意識を持つようになっている。

 日本には現在、14の世界遺産がある。今後世界遺産となる可能性があるところとして国内暫定リストとして9か所がリストアップされていて、各地域は認定に向けて努力されている。
 先日、その一つを紹介する番組を見ていて気になることがあった。研究者が、歴史的に不変的な価値を語る横で、地域関係者が地域活性化に向けたビジネスチャンスを熱く語っていた。
 気持ちは良くわかるが、世界遺産認定は、世界遺産の対象を後世の人々のために保護保全することが、まずは重要であり、その基本が守られなければ世界遺産の価値は無い。

 日本は今、「開発型」から「メンテナンス重視型」の社会に変わろうとしている。自然という「財産」を大事に守るという面などで象徴的なのが、国内の世界遺産や文化遺産、あるいは国立公園であろう。私は、政府の審議会のメンバーなどとして、この三つすべてかかわっているが、これら三つは、偉大なる日本の資産であるとの思いを強く持っている。残念ながらこれらの資産の維持管理は今までの「開発型」の社会では充分には行われていない。

 今の時代はビジネスとしての視点無しにはこれらの資産の保護・保全は難しいと思われる。だが、イギリスの自然保護や、ヨーロッパ大陸での文化財保護を見ていると、前へ前へと走ってきた日本が今から「メンテナンス重視型」の象徴としてのこれらの素晴らしい資産を経済の仕組みを通じながら未来へつないでいかなければならい。それがあって初めて永続的な活性化が可能になるのである。

(2008年8月30日 読売新聞)
速水亨さん:79年から三重県紀北町で家業の9代目に。06年から日本林業経営者協会会長。55歳。