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2009年05月13日
NO.457 大内力先生のこと
しばらくお休みしてしまいました。
「森林は、すべての生命の源泉であり あらゆる文化の土壌である。」
実は、先月の18日に、この言葉を書かれた大内力(おおうちつとむ)先生が亡くなられ、なにか一言でも最後のご挨拶をさせていただかないと、と思うあまり、次が書けずにつかえてしまっておりました。
大内先生と言えば、日本の代表的なマルクス経済学者で東大名誉教授。お父君は、やはりマルクス経済学者として有名な大内兵衛氏。
時々<あし>は他団体の活動を話題にしますが、大内先生は、その一つであるJUON NETWORKという団体の初代会長としていろいろ応援して下さったのです。私も初代の事務局長として夢中で頑張っておりました。(今も理事として関わっておりますが)
準備会や理事会。静かに入ってこられ、ご挨拶された後は、黙って皆さんの議論を聞いていらっしゃる。
大変に偉い方、と、今でも思っていますが、ある時、大内先生もお父様と比べられると不機嫌になる、と他の方が話されているのをお聞きして、急に親しみを持ったことを覚えているのです。
今にして思えば、お会いしたときはもう80歳になられていたのですが、何人ものご友人と旅行されたりして大変にお元気でした。
なかでも森や山にことのほか思い入れがおありのようで、徳島県の井川町(現三好市)に、その会で森を取得した時は、「大学の森」と名付けられ、学生たちにその森で自由なひとときを過ごさせたいと、静かに理想を語られていたことなど思い出します。
そして「森林は、すべての生命の源泉であり あらゆる文化の土壌である」という言葉を作られ、会に下さいました。
私は、この言葉に、いたく感じ入って「文化遺産を未来につなぐ森づくりの為の有識者会議」ができた時、リーフレットに書かせていただきたいとお願いをしたのです。
そうしたら、大内先生からは、どうぞ使ってくださいとお返事をいただき、会員にもなってくださったのでした。嬉しかったです。
以来、いつも更新時期になると、大内先生の字で、会費が振り込まれてくることをとても有り難く嬉しく思っておりました。
大内先生のご生涯の、ほんの一コマ、一瞬だけでもご一緒できたことを光栄に思っています。
ご冥福をお祈りいたします。
朝日新聞社に掲載された訃報記事を追記させていただきます。
日本の代表的なマルクス経済学者で東大名誉教授の大内力(おおうち・つとむ)さんが、18日午後5時32分、肺炎のため死去した。90歳だった。葬儀は親族により営まれた。
父親は戦後日本の革新勢力の理論的指導者となった大内兵衛氏。
47年に東大社会科学研究所助教授になり、60年、同経済学部教授。
マルクス経済学の立場から、農業問題をはじめ経済原論、社会主義経済論など幅広い分野で研究活動をした。とくに宇野弘蔵氏の理論をもとに、日本農業の特質を世界史的な観点から分析した業績は高い評価を受けた。
東大退官後は信州大、大東文化大の各教授を務めたほか、農政審議会などの政府審議会委員も歴任した。82年に日本学士院会員。旧社会党系のシンクタンクである平和経済計画会議の理事長として政策提言をまとめるなど、現実の政治に対する関心も揺るがなかった。